HOME > LIFESTYLE > Diners Club Presents Japan Classic Automobile 日本橋架橋99周年を祝う 優雅で華麗なクラシックカーの祭典[前編]

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Diners Club Presents Japan Classic Automobile
日本橋架橋99周年を祝う
優雅で華麗なクラシックカーの祭典[前編]

白洲次郎氏が英国ケンブリッジ大学留学中に愛用していた1924年型ベントレー3リッター。
十一代目三井家当主であり稀有のエンスージアスト三井高公氏が所有した1926年型ブガッティT35C。
吉田茂のロールス・ロイスと呼ばれた1937年型ロールス・ロイス25/30HP……etc.
そんな指折りの名車が一堂に会した日本橋で、ひとりのファウストが日本の自動車文化と歴史を繋ぐ。

自動車愛好家が日本橋に
集う風景を、現代に再現

 今回、開催された『ジャパン・クラシック・オートモービル』は、前号でもレポートしたファウスト・メンバーのひとり、木村英智が総合プロデュースを務めるイベントである。
 木村は昨年初秋、六本木ヒルズで開催された『東京アクアリオ2009』をプロデュースし、アクアリウムクリエーターの第一人者として、その実力をいかんなく発揮した。海の自然形態を空間デザインとして屋内に展開するその世界観。さらに、“世界は海でつながっている”というコンセプト、『One Ocean』を打ち出し創出したその空間は、多くの来場者を魅了した。

ジャパン・クラシック・オートモービルの総合プロデュースを手がけた木村英智氏。生態系を維持したアクアリウムでアートの世界を構築するアクアリストの第一人者。イベントプロデューサーとしても多岐に渡る活動を行っている車趣味人。株式会社エイチアイディー・インターアクティカ代表。「イベントは自己表現の手段のひとつ。オンリー・ワンにこそ、意義がある――」
ゴシックの建築様式とエンタシスの列柱が美しい三井本館前(1998年重要文化財指定)。日本橋へと向かう隊列の待機場所として。また、当時の自動車愛好家たちが集うシーンを再現するための場所として三井不動産の協力・後援を仰いだ。路上では一般来場者に対し、UCC上島珈琲の協賛によりコーヒーが振る舞われた。整列したクラシックカーの周囲はカメラを持った多くのギャラリーで埋め尽くされた。左は移動の際に隊列の先頭車両を務めたマセラティ・グランツーリズモ・スパイダー。

「今回のきっかけは、名橋・日本橋保存会の方からお声掛けいただいたのが始まりです。現在の日本橋は1911年に誕生し、2011年に架橋100周年を迎えるのですが、この100年というスパンで時間の流れを考えてみると、モータリゼーション発展の歴史と、五街道の起点という日本の道路の中心である日本橋の歴史が、時間軸で互いにリンクしているのだと感じます。人・物・文化、すべては交通の発達とともに進化してきたのですから」。
交通の要である道と自動車。その文化と歴史を融合することをテーマに企画し、付加価値を見出した。
「一瞬だけ派手に目立つだけのイベントなら、関わらない方がいいと思っています。何も残りませんから。個人的には自動車も、以前はファッション的にとらえていたのですが、その個体だけがもつ物語や、ブランドの背景を知ることによって、そこに時の流れを想像したり、付加価値を見出すことが可能になる。クラシックカーの魅力は、ハンドメイドであることや、エンジニアやクラフトマンの“自分たちの欲求を叶えるために作ったんだ”という、本能にも似た情熱を感じさせるところ。そこには、深い“意味”があり、自分にも共通する思いがある。僕にとってこうしたイベントとは、新しく作り上げた世界観を表現する場であり、自分を表現するひとつの手段なんです。だからこそ、オンリー・ワンにこだわりたい」
 当時の自動車愛好家たちが愛車を乗り付け、日本橋エリアに集った風景を、その当時の車両を集めて今に再現したかったと語る木村。それ故なによりも“個体”が持つヒストリーにこだわった。

歴史的クラシックカーと
日本文化の融合を図る

満開の桜のもと、重要文化財である『日本橋』に集う往年の名車たち。2010年4月4日(日)、ジャパン・クラシック・オートモービルは、架橋99周年を迎えた現在の『日本橋』の白寿を祝うプレイベントとして、第19回 春の名橋『日本橋』まつり(主催:名橋「日本橋」保存会)と共催するかたちで開催された。初代『日本橋』が架橋されたのは徳川家康が江戸幕府を開いた1603年(慶長8年)。翌年には五街道の起点とされたことからも、『日本橋』は現在に至る日本文化の発信地として、重責を担ってきた地といえよう。 イベントの主役は、モータリゼーション梁明期から日本のカーエンスージアストにより愛用・保全されてきた歴代のクラシックカーを、現在の『日本橋』が架橋された1911年から戦前までの期間に定め厳選。日本クラシックカークラブ(略称CCCJ。1956年設立)監修のもと、歴史的・文化的価値の高いコレクションを22台集めた。

「クラシッカーイベントを主催するにあたり、伝統ある日本クラシックカークラブ様にご協力いただけたこと。また、世界的にも希少な車両を日本のエンスージアストの皆様にお持ちいただけたことを、大変光栄に思います」と木村は語り、その感銘ぶりを露わにする。
イベントのプログラムは日本銀行本店前を皮切りに、三井本館、日本橋と続く3つの重要文化財を巡る展示セレモニーとパレード。また、イベント会場を訪れた一般ギャラリーも参加・投票が可能なコンクールデレガンスを催すことにした。

クラシックカーの隊列は中央通りを走行し、いよいよ日本橋(1999年重要文化財指定)へ。整列した途端に車両が見えないほどに、日本橋上は人の波に埋め尽くされた。歴史的クラシックカーの存在感はまさに圧倒的だ! 2011年に架橋100周年を迎える日本橋は、名橋「日本橋」保存会による橋の清掃や川の水質改善作業といった“定期的なボランティア活動”により現在まで美しく維持されている。走行中の名車は、国産車で唯一参加したダットサン・フェートン。

 午前9時。日本銀行本店前に集結する歴史的クラシックカーの数々。1896年に施工された日本銀行本店本館は、明治・大正期の建築家、辰野金吾氏の設計による建物だが、同氏が英国に留学経験があるためだろうか、クラシックカーとその背景がごく自然な風景として目に映る。歴史ある自動車メーカーの多くが1800年代後半に創業期を迎えているため、互いの時間軸が見事にシンクロしているようでもある。
 午前11時30分。長めのクランキングからエンジンを始動。展示されていたクラシックカーは目覚め、隊列を作り、エキゾーストノートを響かせ江戸桜通りを、三井本館前へと移動。日本のエンスージアストにより大切に保存されてきた車両は、まるでタイムスリップしてきたかのように、コンディションは抜群だ。
 午後0時45分。隊列はいよいよ日本橋を目指す。橋上で整列するクラシックカー。一目見ようと押し寄せる、さらに多くのギャラリー。その人々の波は、翌年に架橋100周年を迎え、盛大に祝う白寿の情景を予感させるに十分なものだった。


イベントを終えて、装いも新たにパーティ会場に集うエントラントとゲストの面々。今宵の宴は江戸時代から今に続く伝統的な日本橋文化の象徴、芳町(現在の日本橋人形町)花柳界の芸妓衆による「日本橋観桜宴」が披露された。格式高い伝統芸能の舞は、四方のスクリーンに映し出される映像と相まって、上質で優雅な空間を演出していた。それぞれに翌年の再会を期して日本橋の夜は更けゆく――。パーティ会場ではシャンパーニュの名門、伝統と格式を誇る「ヴーヴ・クリコ」が振る舞われた。

表彰式典

左はベストヒストリー賞を受賞した三井氏。記念品としてリシャール・ミル「ル・マン・クラシック ウォッチ」が贈られた。中央はダイナースクラブ賞を受賞したワクイミュージアム代表の涌井氏。「エンスージアストは車の一時預かり人」と語る。右は斬新なアイディアとハイテク技術を駆使するリシャール・ミル。
ベストエレガンス賞 1934年ロールス・ロイス ファンタムⅡパーカー製
ベストヒストリー賞 1926年ブガッティT35C(元三井高公所有車)
ベストファッショナブル賞 1935年イスパノ・スイザK6
ベストオリジナル賞(CCCJ賞) 1924年ベルリエ22CV
ベストエギゾーストノート賞  1924年ベントレー3リッター(元白洲次郎所有車)
ダイナースクラブ賞 1967年ロールス・ロイス ファンタムⅤ
ベストマッチオブ日本橋賞(UCC上島珈琲賞) 1938年ダットサン・フェートン

Data

Diners Club Presents
ジャパン・クラシック・オートモービル

http://h-i-d.co.jp/jca/

総合プロデュース:木村英知(株式会社エイチアイディー・インターアクティカ/ファウスト会員)
主催:ジャパン・クラシック・オートモービル実行委員会、名橋「日本橋」保存会
協賛:ダイナースクラブ、東邦時計(リシャール・ミル)、PEG-UNDERWEAR.COM、マセラティ、UCC上島珈琲
後援:三井不動産
監修:日本クラシックカークラブ
協力:マンダリンオリエンタル東京、ファウスト・アドベンチャラーズ・ギルド、OLF(On Line Ferrarista)
企画・運営:株式会社エイチアイディー・インターアクティカ

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